当法人が販売する「Save Tiger with deer & dogs」は、トラやヒョウなど海外において絶滅の危機に瀕する肉食獣の保全のために、売り上げの10%を還元するエゾシカ原料のペットフードです。
エゾシカ原料のペットフードの製造販売にあたり、以下の3つのバランスが重要と考えます。
エゾシカは、天敵であったエゾオオカミの獲物でしたが、明治時代に人間がエゾシカを乱獲したために、獲物が減って困ったオオカミが家畜を襲うようになりました。害獣駆除のために今度はオオカミが絶滅してしまいました。その後森林を伐採し、家畜のための餌場=牧草地を拡大した人間は、エゾシカに栄養豊富な牧草を提供する結果となりました。家畜に依存する我々の生活は、天敵を絶滅させシカの繁殖に必要な栄養も提供しましたが、その結果として増えたエゾシカは、森林の植物を食い尽くしたり交通事故なども引き起こすようになりました。
そして、今度はエゾシカを害獣とし、徹底して駆除しようとしています。我々の存在自体が引き起こした悲劇です。 駆除した後もかわいそうな結末になっています。北海道においては1998年度以降狩猟規制が緩和され大量のエゾシカが捕獲されましたが、捕獲数は現在(1998-2016)に至るまで延べ160万頭を超えております。
推定ですが、50%が食肉加工、ペットフードほか、および自家消費、50%はゴミ扱い廃棄となっています(個体数ベース)。重量ベースでみた場合廃棄量の割合はさらに高い可能性。
当法人は、原料調達のために鹿を捕獲することは一切ありませんので、このゴミ扱いされそうな50%を有効利用して(回収システムの構築と商品化)その死に報いるための努力をしております。ゴミ扱いというと品質が悪いと解釈されるかもしれませんが、システムが欠如していると品質の良し悪しと無関係に廃棄されます。よって、初期段階では、良いものを優先的に使い、徐々に品質が悪いものを減らしていくシステムに転換していくことになります。
一方、我々日本人は海外から大量の資源を輸入しております。
特に木材は東南アジアや極東ロシアからも大量輸入し、現地の環境破壊を助長している事実があります。また自国の森林面積は多いものの間伐もされずに放置されたり、シカなどの獣害に悩んでいる人工林も多くあります。さらにペットやペットフードも沢山輸入しているペット大国であります。ペット、家畜、野生動物それらは全て大切ないのちであり、日々互いに依存したり地球上で共存している我々は、そのいのちに対して生きている時も死んだ後も、それらが棲む環境も含めてあらゆる責任を持たなければいけないと思います。
多くの環境破壊は、生産者が起こしているように見えますが、実際には消費者が起こしています。需要が無ければ生産も無いのです。言い換えれば、消費者の考え方は非常に重要です。消費者がとにかく安ければよいという考えをすれば、販売する側はコストを重視して世界中安価な資源を探し回ります。また、ある消費者がトラの漢方薬や毛皮を入手したいと思えば、どこかで密猟される可能性が高まります。
下記のホームページに、絶滅寸前のトラのことが書かれております。原因の多くは、生息地の破壊や獲物の減少・密猟です。
今回トラやヒョウをとりあげる理由は、かれらの獲物の多くが鹿であること、さらに特にロシア東部の大陸に広がる生物多様性豊かな世界自然遺産の森は、北海道と似たような環境であり、遠い昔エゾシカが大陸から渡ってくる前のエゾシカの故郷でもあります。
今や一方の捕食者は絶滅しかけ、一方の被食者は増えて害獣・ゴミ扱いされている。そうさせたのは人間であり日本人であり、それを解決出来るのも人間であり日本人です。本来の食物連鎖とは立場が逆ですが、今回のコンセプトは、「シカがトラを救う!?」「犬が手伝う」です。
すぐに全ての問題が解決するわけではありませんが、そのような仕組みを作り徐々に広めるためには、ペットのオーナー様の理解と協力が不可欠となります。 このような背景と想いから作るオリジナル商品が、「Save Tiger with deer & dogs」です。
このような試みが、何かのきっかけになれば幸いです。
■寄付先
(FoE Japanは、地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGOです。 世界77ヵ国に200万人のサポーターを有する Friends of the Earth Internationalのメンバー団体として日本では1980年から活動を続けており、早くから沿海地方のトラやヒョウの保護や生息地保全に関する問題、現地エコツーリズムにも積極的に取り組んできた。)
■関連文献
北原理作・前田一路・竹下千代恵・大矢恵里子・相馬幸作・笠井文考・増子孝義. 2011. エゾシカの個体数管理と有効活用の両立は可能か? 〜生体捕獲の必要性とペットフードとしての活用の意義〜 畜産の研究 65(10):993-998
北原理作・大矢恵里子・伊澤 信・大島佳子・前田一路・斉藤三郎・相馬幸作・増子孝義 2011. エゾシカ原料ペットフードのミネラル成分特性 畜産の研究 65(11):1103-1108
北原理作・前田一路・富田勝將・島田昌泰・伊奈信也・堀田繁雄・増子孝義 2012 エゾシカ有害駆除個体の有効活用システムの構築 畜産の研究 66(7):711-714
北原理作・竹下千代恵・行場未緒・平岡裕二・平野浩司・相馬幸作・鈴木悌司・増子孝義. 2016. エゾシカによる鉱塩利用の季節変化と誘引材としての可能性(1). 畜産の研究, 70(9):671-678.
北原理作・竹下千代恵・行場未緒・平岡裕二・平野浩司・相馬幸作・鈴木悌司・増子孝義. 2016. エゾシカによる鉱塩利用の季節変化と誘引材としての可能性(2). 畜産の研究, 70(10):753-759.
北原理作・行場未緒・竹下千代恵・大矢恵里子・林 茂樹・高倉 豊・小松輝行・鈴木悌司・増子孝義. 2016. エゾシカのナトリウム要求性〜供給源と役割に関する考察〜. 畜産の研究,70(11):855-865.
北原理作・遠藤 明・後藤和之・渡邊靖行・平岡裕二・広島 学・増子孝義. 2016. 無雪期の牧草地における鉱塩を用いた捕獲用囲い罠へのエゾシカ誘引技術試験(1). 畜産の研究,70(12) :951-957
北原理作・遠藤 明・後藤和之・瀬口正幸・渡邊靖行・平岡裕二・増子孝義. 2017. 無雪期の牧草地における鉱塩を用いた捕獲用囲い罠へのエゾシカ誘引技術試験(2). 畜産の研究,71(1) :23-28
■被害対策 参考文献
北原理作・笠井文考・小松輝行・増子孝義. 2013. 海外におけるシカ類に対する忌避材の評価 畜産の研究 67(9):900-906
北原理作・笠井文考・遠藤 明・高木恵一・平野浩司・相馬幸作・増子孝義. 2013. エゾシカに対する忌避材の効果試験〜臭いに対する反応〜. 畜産の研究,67(10):987−991
北原理作・笠井文考・遠藤 明・高木恵一・平野浩司・増子孝義. 2013. エゾシカに対する忌避材の効果試験〜音・光に対する反応〜. 畜産の研究,67(11):1123-1128
→エゾシカ原料ペットフード「Save Tiger with deer & dogs」が出来るまで (JPG:792KB)
→エゾシカ地域個体群に与える積雪の影響(2020-2021年越冬期) (PDF:3.2MB)
→当法人のエゾシカ皮ガムについて (PDF:127KB)
011-708-1055
080-3296-8164
当法人のサービスや取扱い商品に関するご質問など、お気軽にお問合せ下さい。